Grand Vin

2011 シャトーヌフ デュ パープ(要予約)

ヴュー テレグラフ

¥14850

 

6世代に渡りその歴史を継承する家族経営の生産者。
例年安定した品質を誇る「ワイン愛好家のためのワイン」。

フランスを代表する歴史あるアペラシオンの一つ、シャトーヌフ・デュ・パプにて、1898年に創業したヴュー・テレグラフ。6世代に渡りその歴史と伝統を繋ぐ家族経営のワイナリーです。代々継承するこだわりの詰まったワイン造りから、南ローヌ随一のエレガンス溢れるワインを仕立てています。

そんな彼らの歴史は古く、初代当主のアンリ・ブルニエ氏が、ベダリッド村の高原に畑を購入したのが始まり。平坦な土地が多いシャトーヌフ・デュ・パプの中でも標高が高い場所に位置するこの地は、土壌に小石が密集し強風が吹き荒れるため、耕作には向かない場所とされていました。しかし代々農家を営んでいた彼らはブドウを植樹し、厳しいテロワールとひたむきに向き合い、見事ブドウ栽培に成功。出来上がったワインは、誰もが予想しないほど素晴らしい出来ばえでした。

1940年代にはこの地でのブドウ栽培に興味を持つ人はほぼいませんでしたが、1950年代頃からワインのポテンシャルの高さが徐々に認知され、多くの生産者が参画。現在では、シャトーヌフ・デュ・パプきっての銘醸地として世界的高評価を獲得しており、ヴュー・テレグラフは、まさにこの地の先駆者とも言える存在なのです。

そんな彼らは、代々畑を少しずつ増やし、1980年代には現当主のダニエル氏、フレデリック氏兄弟が参画。より精力的にワイナリーの拡大に取り組み、シャトーヌフ・デュ・パプの本拠地となるドメーヌ・ヴュー・テレグラフに加え、同じくシャトーヌフ・デュ・パプのドメーヌ・ラ・ロケット、近隣のジゴンダスや、ヴァン・ド・ペイを造るワイナリーも設立。所有する畑は190ha以上に及びます。

そして2015年以降、6代目となるフレデリック氏の息子のニコラ氏とダニエル氏の息子エドゥアール氏も加わり、創業時から続く、実直な畑仕事に重きを置いたワイン造りを継承。丁寧に栽培したブドウの個性を活かした彼らのワインは、一度飲んだら納得の、素直に美味しいと思える味わいが魅力。例年安定した品質を誇りながらも、コストパフォーマンスに優れ、手掛けるいずれのドメーヌでも「ワイン愛好家のためのワイン」というべき逸品を生み出しています。

テロワールを尊重し、
その魅力を引き出すことに注力する生粋のヴィニュロン。

「素晴らしいワインを造るには、畑仕事が90%。畑での作業に時間をかけ、醸造所ではできるだけ手をかけないことが重要。」と語るように、生粋のヴィニュロンであるダニエル氏がワイン造りで重視しているのは、テロワールを尊重し、その魅力を引き出すこと。畑の区画や樹齢ごとに細やかに別々のキュヴェを仕立て、それらを慎重にブレンドすることで、畑とブドウが持つ個性を表現することができるといいます。

そんな彼らは、認証は得ていないものの、実質的にオーガニックなブドウ栽培を実施し、ブドウ本来の味わいを表現。
また近年、水不足への対応として、畑に人工的に給水を行う灌漑を実施する生産者が増加。しかし、「灌漑はその土地の本来の姿に人の手で色を塗るようなもので、その土壌を表現するというポリシーには反するため絶対にしない。」とのこと。灌漑を行わないブドウ樹は、地下深くにある水分を求めて下に向かって垂直に根を伸ばすため、水分に加え地中のミネラルや養分などを得られるのです。

醸造面についても、人的な介入を可能な限り減り排除。発酵は天然酵母を使用。またブドウの果汁を果皮に漬ける際、より濃縮感を得るため温度を下げゆっくり発酵させる低温浸漬や、発酵中にタンク内を撹拌することで、より多くの色素やタンニン、香り成分等を抽出するピジャージュも行いません。その代わりに、発酵中は30度を超えないよう温度管理をし、タンニンをやわらかく緻密にするため、30日から40日以上と非常に長い時間をかけて抽出を行います。
「抽出は、”抽出”ではなく、”Infusion=煎じる、浸出”と考え、可能な限り自然に、人の手を加えずに行う。タンク内での活動を減らすほど、その土壌のキャラクターが出てくる。”フルーティーさ”は人の手で生み出せるものだけど、”ミネラル” ”石っぽい味わい”などは決して作れない。」と語るダニエル氏。ワインメーカーの色は出さず、あくまでその土地のブドウや土壌を表現することに注力しているのです。

フィネスを湛える優美な味わいを生む、古樹のグルナッシュ。

そんなヴュー・テレグラフならではの、ブルゴーニュのピノ・ノワールを思わせるエレガントなスタイルは、彼らが代々受け継ぐ古樹のグルナッシュから生まれます。

土壌の特徴を味わいに色濃く反映する品種

「グルナッシュは土壌のカメレオンだと考えている。」と語るダニエル氏。他のブドウ品種は、その品種自身に個性や味わいがありますが、グルナッシュは、育つ土壌の特徴を味わいに色濃く反映する品種で、その点がピノ・ノワールとの共通点でもあります。
シャトーヌフ・デュ・パプは、圧挺の小石や砂地、粘土、ゴツゴツした石灰岩、赤い砂岩という特徴的な土壌が点在。その組み合わせにより、リッチで濃厚なタイプから、繊細でエレガントなタイプまで実に様々なスタイルのワインが生まれます。

高標で強風が吹き荒れるテロワールが生む凝縮感とバランス

ヴュー・テレグラフが所有する単一畑のラ・クローとピエロンは、シャトーヌフ・デュ・パプの中でも高標なエリアに位置。ミストラルという北から吹く乾燥した風が、ラ・クローとピエロンでは年間平均200日に渡って吹き、この風によりブドウの水分が減るため、自然と凝縮度が増します。
土壌には石が非常に多く、70%の密度で地下4mにまで広がるそう。そのため、ブドウ樹は栄養を求めて地中深くへと根を伸ばします。さらにこの石は日中の太陽熱を蓄え、夜に保温の役目を果たすためブドウの成熟に大きく役立ち、素晴らしい凝縮感を与えます。そして石の下にある粘土層が雨水を蓄えるため、ブドウの育成期や成熟期にも滞りなく水を得られることで、バランスや安定をもたらしています。

古樹だからこそ得られる複雑味

そんなテロワールの恩恵を存分に受けられるのは、彼らのグルナッシュが長い年月をかけて地中に深くに根を伸ばしている古樹だからこそ。ラ・クローやピエロンの畑の平均樹齢は実に75年以上に上ります。「40年を超えた樹ほど複雑味や深みがあるブドウを生み出す。」とダニエル氏。古樹のグルナッシュは若木よりもアルコール感が低く、アロマの複雑さにフィネスやミネラル感、緑のようなニュアンスやスモーキーさなど複雑味をもたらし、ヴュー・テレグラフのスタイルに大きな影響を与えているのです。